君たちなら物心二元論はご存知だろう。
人間は、肉体(ハー)や魂(カー)と呼ばれるエレメントでできている、という考えだ。
魂が母親の胎内に入ると妊娠し、肉体から離れた魂はあの世へいく。
それが死だ。
死とは、瞬間ではなく、魂が移動するプロセスだ。
人間は心臓にある魂(カー)と、内臓が収められている肉体(ハー)でできている。
つまり肉体は魂の入れ物にすぎないのだ。
アニミズムが浸透している日本では、馴染みのない話だろう。
しかし、現にわたしは本来の肉体から魂が離れ
エガの肉体を間借りしている。
つまりはエガの魂と、エガの肉体に同棲しているのだ。
君たちは、これをどう説明する。
まさに物心二元論の証明といえるのではないだろうか。
基本的にわたしはエガが動いていないときに活動させてもらっている。
魂の友であったエガとは、以前から特殊な通信手段を使ってつながっていた。
わたしが何らかの事件に巻き込まれ、
魂が以前の肉体を離れ
行き場をなくして彷徨っていたとき、エガの声がきこえた。
気づくとわたしはエガの肉体に宿っていた。
わたしの目的はただひとつ。
失われた体を、本来のイケメンボディを、取りもどすことだ。
この体、どうにもわたしには合わない。
わたしには、肉体を失ったときの記憶が抜け落ちている。
もしかしたら、何者かに肉体を乗っ取られたのかもしれない。
知りたいのだ、真相を。
そして、必ず、わたしは帰る。
そうだ。
いまの私と似たような境遇の話がある。
「失われた体」というフランスの作品だ。
子供にはまだ早いし、娯楽性も乏しいから勧められないが
ある程度、経験豊富で余裕がある大人ならば、受け入れられるだろう。
革新的な試みであり、わたしは美しいと思った。
誰にでも勧められるのが「劇場版若おかみは小学生!」。
大人も子供もいっしょに感動できる作品だ。
日本において、人と人が幸せなマインドで
生きていくための要素がすべて詰まっている。
どちらも愛おしい作品だ。
ぜひご覧ください。