正月にステージの家に言ったら、「最近、メルクスでトロナさんよく見るで。オマエにもよろしくって言われたわ」と言われた・・。ト、トロナさん・・。メルクスのDOCの常連連中で、この名前は知らない人はモグリと言われた、DOC史上に残る(笑)、「最強の素人」トロナさん・・・。忘れない内に思い出話を書いておきます。
トロナさんは、ただのオッサンです(笑)。馬の強さも、騎乗ぶりもただの素人です(本当はそうではないけど)。が、メルクスの常連連中は、トロナさんに必ず1度は、痛い目に遭わされ、そして、仲良くなったはずです。誰もがトロナさんを好きだったし、トロナさんのような常連がいたことが、(他のゲーセンとは違う)メルクスの誇り(は言い過ぎか?)だったと思います。
そんなトロナさんとの思い出のレースは、2000になって3~4ヶ月ぐらい経った、ある日曜の朝のこと。オレが「素人期」を抜け出して、本格的にダビラーになろうとして、プッチ君やエガ君と知り合った頃だ。
この頃からメルクスの日曜の午前中は、「トロナタイム」と言われ、トロナさんが好きなように馬を育てていたのですが(まだ、それが知れ渡る前のこと)、オレは草野球が中止になったので、そんな中に行ったのでした。
ちょうど、JCダートのプログラム。「お、あれがウワサのトロナさんか?」。ステージから、「打ち方はメチャクチャだけど、雨が降ると最強のオッサンがいる」というウワサを聞いていたオレは、(2000から馬を作り直していたので、この頃はダートと雨には自信があった)敵意バリバリで、JCダートに挑む。
こっちは、20ウン戦の先行で、トロナさんは18戦ぐらいの差し。
レースが始まる。楽勝やった・・・。今思えば、馬のキャリアの差だとは思うが、「これが雨(ダート)最強の人?」と思うぐらいのあっけなさで。
次はJC。オレは(JCダートを勝った)同じ馬で挑むが、トロナさんはさすがに20戦を超えた、そのときのエース馬なようだ。が、(先行ROM時代の)JCなのに、差し馬だ!(トロナさんは差ししかしない)
ゆるりとしたDOCの音楽が流れる。天気は雨だ。が、先ほどのJCダートから、先行して負ける訳ないと思った。
レースが始まる。もちろん、オレの馬はアホみたいに逃げる(オレとトロナさん以外いない、マッチレース)。1回もトロナさんから鞭ボタンの音がしないまま最後の直線を迎える。差は30馬身はありそう。負ける訳がない、そう思った。
残り400。トロナさんの席から鞭ボタンの音がする。が、そんなに連打と言う訳でもない「届く訳ねーだろ、このシロートが!」と思い、余裕のMAX鞭。
残り200、鞭の音は早くなり、差は10馬身ぐらいに。「結構来てるな~。けどまぁ、そろそろ鞭もなくなるし、楽勝やろ」。
残り100、差は5馬身。まだ鞭の音は終わらない。「えーーー、まだ来るんか!」
残りあと僅か、まだ半馬身勝ってる。が、鞭の音は終わらない・・・・。
ゴーーール・・・・。キッチリ、ハナ差交わされてました。そして、何が凄かったって、ゴールしてもまだ、トロナさんの馬の鞭が残ってたことや。有り得へん。悪いけど、こんな負け方、あとにも先にもしたことないわ!
次の有馬(晴れた)を逃げ切ったあと、トロナさんに「ステージって奴からウワサは聞いてました。重の鬼つーのは、本当ですね。オレも重には、相当自信あったんですけど」と話しかけたら、トロナ厩舎の秘密(って訳でもないけど)を教えてくれた。曰く、「配合は適当」。何せ、このときオレが教えるまで「ダート適性」とか知らなかったらしい・・・。「いやー、ウチの馬、普段はモエカ君とかに敵わないんだけど、重馬場だと何故かいい勝負してたんだよねー」って、知らんかったとは・・。
一度、オレと2人で打ってたとき、トロナさんに、「プライム君とだと楽しいよ。遊びに全力出してるって感じがさ」と言われたのは、本当に嬉しかった。そして、オレからもハッキリ言える。「トロナさんより弱いダビラーは山ほどいたが、トロナさんより強い素人はいなかった」と。
そんなトロナさんは今、メルクスのスターホースに嵌まってるそうです(笑)。